登山を始めたら、まずはルールやマナーを覚えましょう。これは登山者としてまず身に着けるべき基礎知識です。人に迷惑をかけない・安全に山を楽しむ為に遵守しましょう。
ルール:守るべき規則や規範
マナー:相手を思いやる行動
今回は基本的なルール10ヶ条について説明します。
重要かつ基本的なルールを10個並べてみました。
多く感じるかもしれませんが、簡単にまとめると以下の3点となります。
では、それぞれを詳しく見ていきましょう。
①山岳保険への加入
年々登山者が増える一方で、山岳遭難件数も右肩上がりに増えています。2022年の今年は特に多く、遭難のニュースが後を絶ちません。
では山岳保険の加入者数はというと、その半数にも満たないそうです。
なぜでしょうか?
遭難件数の第1位が道迷い、それも低山で起こっているから、と言われています。
ただ、道迷いからの滑落、ケガといった2次被害につながり、死亡事故が起きているのも事実です。「道迷い」だからと安心はできません。
山岳遭難の場合、警察の捜索で見つからず民間に依頼したケースや、近くの山小屋に民間のレスキューがいた場合、緊急を要し民間に依頼すると高額な費用がかかってきます。登山者が死亡していた時には、その費用がご家族に請求されます。
ではその費用がどれぐらいかというと、発見に至るまでの日数にもよるのですが、数百万円にのぼったケースもあるのだそう。民間のヘリが飛んだ場合、1分で1万円、1時間で60万円などという記事も読みました。
身近な六甲山でも、沢登りをしていて滑落、ヘリが救助に来たそうです。低山でも救出時にはヘリが飛ぶということですね。
では、山岳保険に入ろうと思って調べてみると、保険によって保障内容が様々でよくわかりません。
生命保険と似たようなもので、充実した補償内容を選べばそれだけ保険料も高くなります。
そして、どの補償内容が自分に適しているのかよくわからないということが、加入率が低い一つの原因ではないかと考えます。
子供たちに負担はかけたくないな。
私たちは登山を始めてすぐに保険に加入しました。
登山アプリYAMAPでは保険に加入することも可能です。
いろいろ調べて頭がややこしくなるよりも、とりあえず加入しておくっていう安心の方を選びました!
1日単位、1か月単位で加入することもできますよ。
②登山届の提出
遭難した時に一番重要なのが「いかに早く遭難したことに気づいてもらえるか」です。
山へ出かける際には、ご家族や友人・知人など身近な方に詳細をお伝えください。
異変に気付き警察に捜索を依頼した場合、次に重要になるのが登山届の存在です。
どの登山口からどのルートを通ってどこに下山するのか、入山した時刻や下山予定の時刻、また持っている装備品などの情報により、結果捜索範囲を特定しやすくなり救助される可能性が高まります。
各登山口に登山届のポストが設置されていると思います。面倒でもご自身のために提出することを強くおすすめします。
YAMAPでは、登山計画を印刷して登山ポストに投函することができます。
また、YAMAPが協定している自治体には、アプリから直接提出することも可能です。
みまもり機能も活用しています。
これにより子供たちは私たちがいつどの山に入山して何時に下山したかを知ることができています。
③登山道から外れて歩かない
近年登山者が増えるにつれ問題視されているのが踏み荒らし。
山には高山植物や山野草と呼ばれる草花が登山道を彩ってくれています。しかし、写真撮影やコースのショートカットの為に本来の登山道ではない箇所を歩く登山者がいます。
一度踏み荒らしてしまうと、失われた自然を元に戻すのは簡単なことではありません。
花や苔や山野草に興味のない方にとっては、なんの価値もないただの雑草のように見えるかもしれませんが、環境保全のためぜひご協力ください。
④登山道は登りが優先
これに関しては「絶対」ではなく、ルールというよりもマナーに近しいかもしれません。
といった事から、基本的には「登りが優先」とされています。
ですが例えば、5人で登っていて1人が下山してきた時、1人を優先してあげた方がスムーズです。
自分が登っていて上から人が来たときに、息が上がって休憩したい時だってありますよね。
そんな時には「お先にどうぞ」と下山する人を優先するときもあります。
こういった登山道での譲り合いは、基本的なルールを知ったうえで、状況によって判断するのが一番正しいと思います。
⑤持ち帰らない・持ち込まない
山という大自然に我々人間が足を踏み入れるときには「環境を破壊しない」ことが大前提になります。
持ち帰らない
高山植物や山野草はとても綺麗です。
お店やネットでも購入できますが、結構高額だったりもします。
家に持ち帰り栽培したくなる気持ちはわかりますが、これはタブーです。
掘り返され持ち帰られた植物は、そこに種を落とさず来年は花を咲かせません。
持ち込まない
日本全国の土地には所有者が存在することをご存知でしょうか。
「○○登山クラブ」と書かれた山頂プレートが多数存在したり、ワロックと呼ばれるカラフルな石が置かれていたりもしますが、本来これらは不法投棄扱いとなります。
実際、二上山のトトロルートは登山者の人気コースでしたが、今年6月末で撤去されてしまいました。
ゴミを放置したり、余った食材を放棄するのもタブーです。
冬になるとバーナーでお湯をわかしてカップラーメンを食べることが登山者の楽しみだったりもしますが、余ったスープをそのへんに捨てるのもやめましょう。
UFOのお湯を捨てている人がいたけど、あれも絶対ダメだよね!
⑥動物にエサを与えない
去年、観光で知床を訪れた時に、公衆便所に貼られていたパンフレットを見て心が痛みました。
私たち人間は動物が大好きです。
ですが、自然界に生きる動物たちとは距離をおかなければいけません。
⑦グループ登山ではリーダーを決める
複数人で登るとき、リーダーの存在が不可欠だとされています。
天候不良や災害など起こった時、グループの生死はこのリーダーの存在によるといっても過言ではありません。瞬時に判断し行動できる人間が必要です。
ですが、こういった精神的負担もあって、リーダー不在のグループ登山が増えているそうですね。
リーダーは常にグループの体調を気にかけなければいけませんし、休憩の場所や時間など、スケジューリングも必要になってくるかと思います。
撤退の判断も、ただちにリーダーが判断を下します。メンバーはリーダーの判断に従い行動します。
グループで登山される際には、登山経験が豊富な方がリーダーになり、体力のある方が最後尾に付き、常にメンバーの状態を把握するようにして、安全な登山を心掛けてください。
リーダーを支えるのはメンバー全員の役割!
勝手な行動はリーダーを苦しめるだけですよ!
⑧道を間違えたら間違えた地点まで戻る
低山はルートが多く、そのことが道迷いの原因になっていると思います。一つ間違えば全然違う場所へと進んでしまう。
途中で間違いに気づいても、方角を正せばルートに戻れるという謎な心理が生まれます。来た道を引き返すのが億劫だからです。
たいてい、道なき道を進んで正規ルートにたどり着こうとした場合、急斜面を登るか谷に下るか崖になっているかのどれかで、ここに危険が潜んでいます。
道迷いからの滑落の多くは、こういった状況で起こっています。
⑨道に迷ったら沢には下らない
もし道に迷ってしまったら、絶対に下ってはいけません。上へ上へと尾根に登るのが正解です。
遭難した時に見つかりやすいのが尾根だという理由以外に、沢は危険がいっぱいだからです。
急斜面を滑るようにして下れたとしても、そこを登ることは至難の業。雨が降れば川は増水します。一旦沢に下ってしまうと、救助が来るまで沢で過ごす事になります。
山での捜索は登山道を歩いての捜索とヘリで上空からの捜索の二手に分かれますが、沢にいると発見するのが難しくなります。
⑩トイレや小屋の使用方法を守る
トイレや避難小屋・山小屋では、それぞれの場所でルールが違うので、注意書き等をよく読んでください。
例えば、トイレの利用には1回100円が必要だったり、使った紙は流さずに便器横のゴミ箱へ捨てるところもあります。利用後はポリタンクの水を流すよう書かれているところもあります。
コロナの影響で「歯磨き禁止」の山小屋があるそうで、お風呂に入れないことよりも辛かったという活動日記も拝見しました。
登山計画の段階で下調べしておくと、行ったときに困らなくて済みますね。そんなこともあるんだ!と勉強になりました。
八経ヶ岳に登った時、トイレの使用に100円がいるって事前に聞いていたから良かったけど・・・知らなかったら困っていたな。
まとめ
以上、10個のルールをご紹介しました。
勝手な行動は慎んで、ルールを守って行動しましょう!