高所恐怖症でビビりな私は、山の情報をしっかりと調べたうえで「問題ない」と判断してから登山計画を立てるのですが
登山を始めて間もないころ、夫の希望で泣く泣く馬の背にチャレンジしたことがあります。
須磨アルプスの「馬の背」は、切り立った岩稜を歩くスリリングな場所です。
実際に過去には滑落死亡事故があり、2024年には約5m滑落して重症となった事故も報じられました。
「馬の背は危険?」
「初心者が行って大丈夫?」
と気になっている方に向けて、実際に歩いたときの写真を添えながら振り返ります。

須磨アルプスの名勝「馬の背」とは?
名勝 馬の背とは
- 六甲山系西端に位置する山塊「須磨アルプス」の名勝地
- 風化花崗岩でできた細尾根(道幅約70cm、長さ約20m)
- 六甲全山縦走路でハイカーに人気のコース
六甲山系の西端に位置する須磨アルプスは、海の絶景・山の絶景を同時に楽しめるとあってハイカーに人気のコースです。
横尾山の南側斜面が岩肌露出していて、東山とを結ぶ細尾根が須磨アルプスの名勝地「馬の背」として知られています。
道幅は約70cm・長さ約20mの細尾根は、風化した花崗岩で足元が非常に滑りやすく、強風時は特に注意が必要。
滑落注意の危険箇所でありながら、スリルと絶景が楽しめる人気のスポットとなっています。
大阪から電車で1時間、駅から登山口まで数分の距離と、アクセスがしやすいのも人気の理由かもしれませんね。

須磨アルプスの登山コースガイド
「馬の背」を通るコースは、以下の縦走路が一般的です。

【スタート】 山陽電車 須磨浦公園駅
→ 鉢伏山(はちぶせやま)246m
→ 旗振山(はたふりやま)253m
→ 鉄枴山(てっかいさん)234m
→ 高倉台(住宅地を歩く)
→ 栂尾山(とがおやま)274m
→ 横尾山(よこおさん)312m
→ 馬の背
→ 東山(ひがしやま) 253m
【ゴール】 山陽電車 市営地下鉄 板宿駅 (又は 市営地下鉄 妙法寺駅)
板宿駅がゴールの場合
距離:約8㎞
時間:約4時間(休憩を含まない)
妙法寺駅がゴールの場合
距離:約7.1㎞
時間:3時間半(休憩を含まない)
マップ
アクセス
【行き】
大阪梅田駅→新開地→須磨浦公園駅(約1時間)
運賃:740円
【帰り】
板宿駅→新開地→大阪梅田駅(約44分)
運賃:660円
妙法寺駅→三宮→神戸三宮→大阪梅田駅(約1時間)
運賃:640円
活動日記「馬の背に挑戦したら恐怖で固まりました」
夫が行きたいというので調べてみたら、過去には滑落死亡事故もあった危険な場所だと判明・・・。
YouTubeを見たり多くの活動日記を見たりして、「私には歩けそうにない」と判断。
しかし夫は、無理だと訴える嫁の言葉には耳を貸しませんでした。
という事で、「行ってみてダメなら撤退する」という約束をして、須磨浦公園駅からスタートしました。
須磨浦公園駅から名勝「馬の背」へ向かう

駅前には学生らしき団体さんがいて、同じ「馬の背」を目指すようです。

駅から歩いて数分。
海を見ながらテクテク歩くと

登山口に到着。
ここから階段が続きます。
途中ベンチなどもあり、休憩しながらゆっくり登りました。


駅から30分ほどで鉢伏山に到着。
桜の木がたくさんあって広場みたいになってます。

旗振山にはお茶屋さんがありました。不定期営業だそう。
https://tabelog.com/hyogo/A2801/A280110/28052984/
ここからの景色が最高でした。
ちなみに鉢伏山からは徒歩1分の距離でした。


旗振山から徒歩9分、鉄拐山に到着。
海と山の距離が近すぎます!素晴らしい景色!

おらが茶屋は土日のみの営業!
登山者に人気のお茶屋さんです。
https://tabelog.com/hyogo/A2801/A280110/28016346/

鉄拐山から徒歩9分、高倉山に到着。
山っぽくはないけど昔は山だったようです。

ここから階段を下って住宅街へ一旦下りることに。
向かいの山まで15分ぐらい歩きます。
途中にスーパーがありましたよ。

山の斜面を歩く人たち。
有名な階段地獄スポットが見えました。

急な階段を400段ほど登るのだとか。
上の方まで行くと高度感もあって少し怖かったです。

栂尾山に到着。
階段地獄は10分ほどで登り切りました。

ここには展望所があって素晴らしい景色が見られました。
景色と言えば掬星台が有名ですが、六甲山系にはこういうスポットがたくさんあるんです。

ここからは花崗岩のザレた道が続きました。

片側斜面のこんなとこだって怖いんだから、馬の背なんて無理に決まってるでしょ・・・(心の声)

栂尾山から徒歩10分、横尾山に到着。
ここからまた一気に下って、核心部の馬の背へ。

いよいよ須磨アルプスっぽくなってきました。
鎖で手が茶色になるので手袋をおすすめします。

向かいの山が東山ですね。
細い尾根道が湾曲して続いています。

それにしても馬の背付近は大渋滞。
駅前にいた学生らしき団体さんで賑わっていました。(旗振山で追い越された)

ここから少し下ると

階段が現れます。

足を滑らさないようにしっかり手摺を握って慎重に下ります。
作りはしっかりしていて特に問題なし。ここまではね。

階段の先が細尾根というわけでもないし、景色を楽しむ余裕すらある。ここまではね。

尾根上を歩いたら多分危険なんだろうけど(おそらく向こう側は絶壁)、岩をつかみながら進めるから結構楽しいかも。


岩と岩の間をすり抜けて

よじ登ります。
足をかけるところもしっかりあって、芦屋ロックガーデンみたいに楽しく登れました。高度感もないからここも問題なし。
「馬の背」にチャレンジする人達

名勝馬の背に到着!
YouTubeを見て、ここまでは来れるという自信はありました。
問題はこの先…

ここから先20mは両側が切れ落ちています。
右側に落ちたらケガで済むかもしれないけど、左側に落ちたら命の保証はないかも?と感じました。

夫は無事に真ん中付近の岩場まで渡ることができました。
手前はまだ道幅が広く見えますが、この先はもっと細くなってるらしいです・・・(年々風化が進んで細くなっていってるらしい)
それでは、高所恐怖症の嫁がいよいよチャレンジします!

掴むところが何もないし、左側が切れ落ちててヤバいです。
ゆるやかな坂になっていて、乾いた花崗岩がめちゃくちゃ滑ります。

あかーーーん!
一生懸命渡ろうとするけど、足がすくんで固まってしまいました(怖)
後ろから来たおじいさんに道を譲って気を取り直します。
おじいさんは躊躇することなく平然と歩いていき夫の横で立ち止まると、振り返ってこちらをじっと見つめています。
は、恥ずかしい・・・( ;∀;)
そこへ、杖をついたおばあさんがやってきました。
どうやらおじいさんはこの奥様を待っているようです。
夫は自分が邪魔になると思って、一旦こちら側に戻ってきました。
おばあさんは「大丈夫よ~。ゆっくり進めば怖くないから~。見ててごらん~」と私に優しく声をかけると、杖をつきながらゆっくりと歩いていき、おじいさんの横へたどり着くと「大丈夫よ~」と振り返ってエールを送ってくれました。
よし!頑張るぞー!
自分にだってできる!!と信じて再び一歩を踏み出すものの、どうしても反対の足が動いてくれません。2度目のチャレンジも失敗・・・(T_T)
そこへ「僕も高所恐怖症で・・・怖いですよね・・・(>_<)」と青年が現れました。
私とまるっきり同じ場所で「こえーーー!」と言って立ち止まりましたが、お尻を地面につけて滑るように進んでいくと、平坦になったところでスッと立ち上がって、あれよあれよと渡っていきました。
凄いよ!青年!ブラボーーー!
なるほど!お尻を付けて進めば怖くないかも!
と、青年を真似てチャレンジしましたが、これも失敗・・・。
次に、犬を抱っこしたお母さんと3歳ぐらいの男の子、お父さんがやってきました。
お母さんはスルスルと渡ったのですが、続く男の子は怖さのあまり泣きだして、馬の背に寝転がって嫌だ嫌だと泣き叫びました。
お父さんが慌てて泣いた男の子を抱き上げると、こちら側に一旦引き返し、少し落ち着かせると抱っこしたまま馬の背を渡っていきました。
一部始終を間近で見てるこちらは、男の子が滑落するんじゃないかという恐怖で手に汗を握り、本当にハラハラしました。
馬の背を撤退|高所恐怖症には怖すぎたチャレンジ

ここまで進んだら、右足が前に出せなくなるんです。おそらく、右足を出そうとすると身体の重心が左に傾くから。
夫は、体は真っすぐに保ったまま右足だけを前に出せと言うのだけど、左側に吸い込まれそうな恐怖で、頭ではわかっているのに体が固まってしまうんです。
そして、右足を出そうとするたびに私の体が左に傾くことが、後ろから見守る夫にとっても恐怖だったそうです。
もしここを通れても、この先のもっと細くなったところは進めなかったかもしれません・・・。
つかめるものが何もない細い尾根道は、恐怖以外のなにものでもなかったです(>_<)

というわけで、栂尾山まで戻って離宮公園へと下り「月見山駅」から帰路につきました。予定通りの撤退・・・。
撤退の決意をしたのは自分ではなく夫
なんとなんと、撤退を決めたのは、実は私ではなく夫でした。
老人・青年・親子連れ・その他、私の目の前を多くの人が通り過ぎていきました。
もうちょっと待って!落ち着いたら行けると思うから!
ここまで誰一人撤退した人はいません。
「みんなが行けるなら自分にも行けるはず!」
最後まであきらめず何度もチャレンジしましたが、足がすくんで一歩も前に踏み出せなくなる私の姿を後ろから見ていて、夫が撤退を決めたのでした。
お前には無理や。
無理は禁物、撤退しよう・・・
え!?撤退していいの?ほんま???
「その言葉を待ってました!」というわけではないんですけど、正直ホッとしました(笑)
もともと無理を承知でここまで来たし、撤退は覚悟の上だったのですが。
なぜか「渡れるかも?」「ここまで来たから渡りたい」という気持ちに支配されて、自分から「撤退」という言葉は発しませんでした。
夫はというと、固まる嫁を眺めながら頭の中で自問自答を繰り返していたそうです。
「もし滑落してしまったら?」「もし死んでしまったら?」最悪な事態を想像して「大事になってから後悔しても遅い」と感じたそうですよ。
撤退から学んだ「安全に登山を楽しむ」ということ

馬の背を撤退した【恐怖の話】は娘にとっても少し衝撃だったようで
「登山するのはいいけど、山で死ぬのはやめて」と言われました。
週末ごとに夫婦で山に出かけていますが、改めて、無理はしないでおこうと夫婦で話をしました。
この馬の背の撤退を経験して「安全に登山を楽しむ」という私たち夫婦のモットーが誕生したのです。
ほとんどの人にとっては「スリルが味わえる楽しい場所」ですが、一握りの高所恐怖症には「命の危険を感じる恐怖の場所」だと思います。
それを「恥ずかしい」と思わず、無理なら迷わず撤退を決めてほしい。そして、周りの人もその決断を受け入れて欲しい。切に願います。
最後に(温泉情報アリ)

8回目の登山で経験した話ですが、あの恐怖は今でも鮮明に覚えています。
東山方面から歩いてくる人達もいるので、引き返す道中ですれ違う人たちに「撤退した」とバレなかったのが救いでした(笑)
同じ高所恐怖症でも、青年のように渡っていける人もいます。
無理だろうと思ってはいても、実際に行ってみて目の前であの景色が見れたのは、いい経験だったし後悔はしていません。
なので、もし行こうか悩んでいる人がいたら、「見に行く」ことはおすすめします!
行ってみてダメなら引き返せばいいだけです(^^)/
板宿駅周辺の銭湯・温泉

板宿駅へと下山して「天然温泉あぐろの湯」で汗を流してから帰る予定でした。
ゴールを妙法寺駅ではなく板宿駅に設定する人が多いのは、周辺に銭湯や温泉があるためです。あさぎり湯、菊水温泉も登山者に人気ですよ。
YouTube動画も人気です
YAMAIKOKAでは、実際に歩いた山の様子を動画で公開しています。