滋賀県の琵琶湖西方に比良山地・比良山系と呼ばれる山域があります。南北20㎞に連なるこの山域の見どころはやはり、眼下に広がる琵琶湖の壮大な景色でしょう。
標高1,000mを超える山々は登りごたえもあり、初心者から上級者まで多くの登山者に人気です。
今回は武奈ヶ岳のお隣に位置する釣瓶岳をご紹介します。
アップダウンのある稜線は健脚向きですが、景色が素晴らしすぎる超おすすめの山です。コース情報など参考にしてぜひお出かけください。
山の情報|釣瓶岳(つるべだけ)
釣瓶岳とは
- 琵琶湖の西岸、比良山地の北稜に位置する
- 蛇谷ヶ峰と武奈ヶ岳の真ん中にそびえる標高1,098mの山
- 山頂は樹木に囲まれ眺望は無いが稜線歩きが楽しめる
釣瓶岳|おすすめポイント
比良山系の魅力は、四季を感じるブナの森林の心地よさと稜線の美しさです。360度パノラマの稜線からは琵琶湖や滋賀の山々、街並みが見渡せます。
絶景の稜線歩き
蛇谷ヶ峰(じゃたにがみね)から釣瓶岳へと続く稜線です。
片側に琵琶湖が広がり、もう片側には滋賀の山々がそびえています。それぞれの稜線の先には蛇谷ヶ峰・釣瓶岳があり、釣瓶岳の向こう側には武奈ヶ岳の姿を確認することができます。
ブナの森
ブナの樹高がそこまで高くないので、透けて見える空が思いのほか近く感じます。
木漏れ日を受けながら、心地よい風を感じながら、落ち葉でフカフカの登山道を踏みしめながら、快適に森の中を歩きます。
腐葉土たっぷりのこの森は、ギンリョウソウ(別名ユウレイタケ)の群生地です。
うっすらピンク色をしていたり、紫色をしていたり、怪しげなその姿はなんともいえない魅力があります。今まで見た中で一番綺麗なギンリョウソウでした。
豊富な登山コース
比良山系は武奈ヶ岳登山が一番人気のようですが、釣瓶岳は武奈ヶ岳の隣にそびえる山なので、いろんなコースで登ることが可能です。逆に言うと、釣瓶岳単体で登るというよりも、武奈ヶ岳や蛇谷ヶ峰などの他の山とセットで登られることの方が多いようです。
ただ、武奈ヶ岳との距離は片道1時間なので、初心者にはかなりきつい山行となります。あくまでもご自身の体力に合わせてコース選びをしていただけたらと思います。
釣瓶岳|初心者向け登山コース
おすすめの初心者向け登山コースを2つご紹介していきます。
おすすめ登山コース①畑(はた)バス停~釣瓶岳
標高 | 1,098m |
歩行距離 | 約10.8km |
歩行時間 | 約6時間 |
標高差 | 登り約997m・下り約997m |
レベル | 初級コース |
登山口から笹峠まではほぼ樹林帯なので眺望はありません。地蔵山山頂からは琵琶湖が見えてちょうどいい休憩スポットになっています。
イクワタ峠から釣瓶岳までの稜線が美しく、左手には琵琶湖が広がっていて絶景です!
おすすめ登山コース②朽木栃生(くつきとちゅう)バス停~釣瓶岳
標高 | 1,098m |
歩行距離 | 約7.8km |
歩行時間 | 約5時間 |
標高差 | 登り約906m・下り約906m |
レベル | 初級コース |
イクワタ峠まで約2時間、ほぼ登りが続きます。こちらも危険箇所はなく歩きやすい登山道になっています。
畑(はた)バス停へのアクセス
マップ
車でのアクセス
京都東IC 出口から 五条バイパス/国道1号/国道8号 に入り 国道161号/湖西道路 方面に向かって進む
→藤尾南ランプ/敦賀/高島/Takashima 方面の 国道161号 出口を出る
→琵琶湖西縦貫道路/藤尾高架橋/西大津バイパス/国道161号を進む
→勝野 方面の出口を出て県道558号を進む
→国道勝野(交差点) を左折して 県道296号/県道304号/県道558号 に入る
バス停手前に3台ほど置けるスペースがありました
電車・バスでアクセス
【電車】
大阪駅~(JR京都線)~京都駅~(JR湖西線)~近江高島駅
運賃:1,520円
【バス】
近江高島駅からコミュニティバス(高島線畑)を利用
運賃:一乗車220円均一
現金のみ
始発:7時27分(~畑)
運行ルート:近江高島駅~畑
近江高島駅~ガリバー旅行村~畑
https://www.kojak.co.jp/bus/community/
朽木栃生(くつきとちゅう)へのアクセス
マップ
車でのアクセス
京都東IC 出口から 五条バイパス/国道1号/国道8号 に入り 国道161号/湖西道路 方面に向かって進む
→藤尾南ランプ/敦賀/高島/Takashima 方面の 国道161号 出口を出る
→琵琶湖西縦貫道路/藤尾高架橋/西大津バイパス/国道161号を進む
→ランプを 国道161号/堅田/八瀬/大原/琵琶湖大橋/真野 方面に進む
→左折して国道477号に入る (国道367号/途中 の表示)
→途中(交差点) を右折して 国道367号 に入る
登山口に駐車場はありません
電車・バスでアクセス
【電車】
大阪駅~(JR環状線)~京橋駅~(京阪本線)~出町柳駅
運賃:660円
【バス】
出町柳駅から京都バス(10系統)を利用
毎年3月16日~12月15日の土曜・休日および8月14~16日に運行
7時45分のみ(朽木栃生には8時49分着)
運賃:1300円
※堅田駅から江若バスに乗ったら終点の細川バス停から朽木栃生まで歩くことになります。
※平日の移動にはのりあいタクシーがおすすめ(別記事でまとめています)
帰りは高島市営バス「針畑線」朽木栃生バス停から朽木支所前までバスで移動して、朽木支所前から安曇川駅までバスで移動する
朽木栃生~朽木支所前 運賃:220円(1月1日~3日は運休)
朽木支所前~安曇川駅 運賃:770円
比良山系は縦走登山が人気
比良山系は縦走登山がとても人気です。
琵琶湖に沿ってJR湖西線が通っていて、駅から駅へと縦走したり、バス停からバス停へ、バス停から駅へと、公共交通機関を利用することでいろいろなルートを歩くことができます。
車だとそうはいかないよね・・・と思いがちですが、車をデポしてバスで移動し、車を置いた場所まで歩く、なんていう人もいますよ。
注意点⚠
バスの運行日・時間をチェック
比良山系を登山される際は、バスの運行日と時間を必ずチェックしてください。
土曜・休日のみの運行だったり、朝の1本しか運行していないことも。また、バスの時間が1時間に1本など、極端に運行が少ない場合もあります。(畑バス停は休日14時台・16時台のバス便はありません)
※土曜・休日は登山者が多く、早めに並ばないとバスに乗れても座れないことがあります
熊に注意
滋賀県内におけるツキノワグマの主な生息域は、湖北地域・湖西地域・比良山系・鈴鹿山脈です。
出没時期は突出して5~7月に集中。
2023年も5月以降、坊村・栗原・南小松・北比良で目撃情報が出ています!
この時期の熊は若い個体が多いそうで、集落の近いところでも注意が必要とのこと。
熊鈴は必須アイテム、十分に注意しながら山歩きを楽しみましょう。
ヒル対策
畑方面、朽木栃生方面、どちらもヒル対策は必要です。
日除け・風・雨対策は万全に
稜線上は遮るものがありません。
夏の日差し、突然の雨には注意してください。
琵琶湖方面から吹く風が思いのほか冷たく、休憩時には上着が必要でした。(6月上旬)
無理のない登山計画を
畑バス停から釣瓶岳までの往復だけで10kmを超える山行です。イクワタ峠から山頂までの登りは長く、初心者にはこれだけできつく感じそうです。
坊村から畑バス停へ、畑バス停からイン谷口へ、いろいろなルートを探りましたが、どれも初心者には少し厳しい内容でした。縦走登山は中級~上級者向けだと思います。
武奈ヶ岳も一緒に登るなら、釣瓶岳から武奈ヶ岳まで往復するよりも、ガリバー村から出発した方が距離は短くなります。ですが、崩落した斜面・渡渉箇所・鎖場などあるのであまりおすすめできません。
八ツ淵の滝ルートは死亡事故が多い事で知られていますが、その危険ルートを避けても十分に危険だと感じてしまいました。(ビビリなので・・・)
まとめ
武奈ヶ岳のすぐお隣に存在しながら今まであまり耳にしたことのなかった釣瓶岳。
「この山を単体で登る人が少ない」というところに原因がありそうです。
しかし、体力に自信のない私たち夫婦にとっては、この山単体でも十分に魅力的でした!
今回私たちが歩いたのは「畑バス停~釣瓶岳」のルートでしたが、危険箇所はなく初心者でも安全に登山できることは証明済です。
ぜひ素晴らしい稜線歩きを体験してみてくださいね!