基礎知識 登山の基本

【登山の楽しみ方①野草観察】雪解けの初春からはじめたい!のんびり山歩きのススメ

マスクを外して外出できるようになり「コロナ過のストレス生活からやっと解放された!」と感じている方が多いのではないでしょうか?

「2023年は何か新しい事をはじめたい」
「キャンプとか旅行とか何でもいいからとにかく外に出ていきたい」
と考えているそこのあなた、この春から登山をはじめてみませんか?

登山というと「キツイ」「しんどい」というイメージを持たれがちですが、選ぶ山さえ間違えなければ誰でも楽しく始められるアクティビティなのです。

今回は十人十色と言われる登山の楽しみ方の中から【野草観察】にスポットをあててお話していこうと思います!

山野草の魅力とは?

山野草とは、平地~高山といった野山に自生する観賞価値のある草花・低木のことを指します。日本ではまだ明確な定義はありませんが、全体的に小柄で花に派手さのない素朴なものを山野草と呼ぶ傾向があるようですね。

山を歩いているとたくさんの植物を目にします。足元に咲く小さな花だったり、目の前に咲く低木の花だったり、それぞれ草丈も樹高も違うので、いろんな角度から我々を楽しませてくれます。

以前登山とハイキングの違いについてまとめましたが、登山というのは一般的に「山頂」を目指すもの。なので、ハイキングと違って体力を消耗します。
そんな時に花を見かけると癒しになるし、立ち止まって観察することで小休憩にもなるから一石二鳥!全く花に興味が無かったけど「登山を始めてから好きになった」という人が多いのも納得です。

山で自生する健気な花だからこそ、そこに多くの方が魅了されるのでしょうね!

山で見られる代表的な山野草

山野草の数は「数千種」ともいわれるので、ここでは代表的な山野草についてご紹介します。

カタクリ/春の妖精(スプリング・エフェメラル)の代表格

出典:PIXTA

ユリ科カタクリ属
球根性の多年草

  • 早春に芽を出し一斉に薄紫色の花を咲かせる
  • 花びらが反りかえるのは日中日差しがある時だけで、曇りの日や夕方には傘のように閉じるのが特徴
  • 咲いた後は種子と球根を残して地上部は枯れ休眠する

関西で有名なカタクリの群生地は丹波市氷上町清住
見頃は4月上旬
大和葛木山でも見られるそうです

イチリンソウ/可憐な白い花

出典:PIXTA

キンポウゲ科イチリンソウ属
多年草

  • 白い花びらのようにみえるが、実はガクの部分
  • 一輪だけ咲かせるものをイチリンソウ、二輪以上咲かせるものを二リンソウと呼ぶ

関西で有名なイチリンソウ・二リンソウの群生地は
金剛山(見頃は4月下旬ごろ)
伊吹山(見頃は5月中旬以降)

ユキノシタ/園芸としても人気

出典:PIXTA

ユキノシタ科ユキノシタ属
常緑の多年草

  • 湿った場所を好み半日陰でも生育するため雑木林や沢沿いの岩場などによく自生している
  • 5枚の花弁のうち下2枚だけが大きく広がる
  • 昔は薬草として庭先や石垣に植えられていた

神社や沢沿いの斜面など、比較的目にしやすい山野草です。

クリンソウ/湿原に咲くサクラソウの仲間

出典:PIXTA

サクラソウ科サクラソウ属
日本原産の多年草

  • 湿潤な場所を好み渓谷の湿地などに群生する
  • 草丈は大きい物で90cmほどになりサクラソウの中では最も大型
  • サクラソウ科の植物には毒性があり草食動物は忌避する

関西で有名なクリンソウの群生地は兵庫県宍粟市にあるちくさ湿原
見頃は5月下旬、ハイキングコースあり

関西百名山の三嶽(多紀アルプス)も人気です!

ミズバショウ/熊の大好物!?

出典:PIXTA

サトイモ科ミズバショウ属
多年草

  • 湿地に自生する
  • 白い部分は葉が変形したもので、中央の円柱部分に小さな花をつける
  • 花が終わると熟した実になるが、この実が熊の大好物だそう

関西で有名なミズバショウの群生地は兵庫県美方郡香美町のハチ北高原
12,000株は関西最大級
見頃は4月中旬

マムシグサ/独特な形が目を引く

出典:PIXTA

サトイモ科テンナンショウ属
毒性をもつ多年草

  • 食中植物に似ているが虫は食べない
  • 花は筒の中に隠されている
  • 秋には実が赤く熟し、トウモロコシに似た形状の果実をつける

山で見られる代表的な高山植物

森林限界よりも高い高山帯に自生する植物のことを高山植物と呼びます。そのため北海道では標高の低い山でも見ることができ、高山だから見られるというわけではありません。
関西では伊吹山(イブキジャコウソウ・イブキトラノオなど)氷ノ山(ヤチスゲ・エゾリンドウなど)で見られますよ。

せっかくなら高山植物のお花畑を見に行きたいですよね。ここでは代表的な高山植物と、見られる山をご紹介していきます。

チングルマ

出典:PIXTA

バラ科ダイコンソウ属の落葉小低木

  • 北海道~中部地方以北に分布
  • 枝が地面を這うように伸び群生する
  • チングルマの葉は秋に紅葉し、花は綿毛となる(8月下旬以降)

チングルマの群生が見られる山①大雪山「旭岳」

出典:PIXTA

大雪山の主峰であり北海道最高峰の旭岳(2,291m)は、日本最大のチングルマ群生地として知られています。ロープウェイを利用することで一気に標高1,600m地点まで行く事ができ、そこから約3kmほど歩くと「裾合平」に到着します。
見頃は7月中旬~下旬

チングルマの群生が見られる山②立山

出典:PIXTA

立山黒部アルペンルートの高原「天狗平」
室堂にかけてチングルマロードと呼ばれる石畳の道が続く
高原バスが通っていてアクセスしやすい
見頃は7月中旬~8月上旬

ニッコウキスゲ

出典:PIXTA

キスゲ亜科ワスレナグサ属の多年草

  • 北海道~本州中部の草原・湿原に分布
  • 別名ゼンテイカ、日光に多く自生するためこの名がついた
  • 花はラッパ状で、朝開いて夕方にしぼむ一日花である

ニッコウキスゲの群生を見るなら①北海道のサロベツ湿原

出典:PIXTA

北海道では「エゾカンゾウ」と呼ばれ、名所として知られるのがサロベツ湿原(日本三大湿原)
利尻島の利尻富士をバックにお花畑が楽しめる、まさに絶景!
見頃は5月~7月

ニッコウキスゲの群生を見るなら②霧降高原

出典:PIXTA

ニッコウキスゲと言えばやはり日光。中でも有名なのが霧降高原のキスゲ平。
天空回廊を歩きながら斜面に咲くニッコウキスゲを楽しむことができます。
見頃は6月中旬~7月

コマクサ

ケシ科コマクサ属の毒性を持つ多年性草本

  • 厳しい環境に生育することから「高山植物の女王」と呼ばれる
  • コマクサ属は世界で20種あるが日本で自生するのは1種類のみ
  • 高山の砂礫(されき)に自生しパセリに似た葉で空気中の水分を集めて水滴を作ることで育つ

コマクサの群生が見られる山①岩手山

出典:PIXTA

岩手山は岩手県北西部に位置する標高2,038mの活火山で、岩手県最高峰であり日本百名山でもあります。そして、日本最大級のコマクサの群落が見られることで知られています。

登山道は7つあり、コマクサの群落を見るなら「焼走り登山口」から出発します。
コースタイムは往復8時間50分、ハシゴや鎖場もあるので体力に自信のある方はぜひ!

コマクサの群生が見られる山②燕岳(つばくろだけ)

出典:PIXTA

長野県は北アルプスに位置し、標高2,763mの花崗岩でできた山です。
山頂周辺の砂礫にコマクサが群生、ライチョウが生息するハイマツ帯もあり登山者に大人気。
「北アルプスデビューには燕岳」と言われるほど、登山道は整備されていて比較的登りやすいコースタイムとなっています。
また花崗岩が風化してできた奇石(イルカ岩やゴリラ岩など)も有名ですね。

山で見られる珍しい山野草

山で見れたらテンションがあがる、珍しい山野草をご紹介します。

キンラン(金蘭)・ギンラン(銀蘭)

ラン科キンラン属の多年草
4~5月

  • 黄色い花を咲かせる金蘭に対し白い花を銀蘭と呼ぶ
  • 葉は楕円形をしており笹の葉のように細長く尖ったものは「ササバギンラン」と呼ぶ
  • 絶滅危惧植物に指定され今では希少となりました

ギンリョウソウ(銀竜草)

ツツジ科ギンリョウソウ属の多年草
開花時期:5~8月

  • 別名ユウレイタケと呼ばれる
  • 光合成をおこなわず菌根をのばし有機物を吸収して生育する
  • 誤って「ギョリンソウ」とSNSで拡散される(ギョリンソウは存在しません)
まりっぺ
まりっぺ

ギンランとギョリンソウ、去年6月に氷ノ山で見ることができましたよ~

【野草観察のおすすめアイテム】スマホ用マクロレンズ

みなさん、山へ行かれるときには必ずスマホを持たれますよね?
そして景色や山頂プレートなどを写真に収める方が多いと思います。
では、マクロレンズはお持ちでしょうか?

ダイソーやセリア、キャンドゥに売っているマクロレンズが意外にも優秀とのこと!

https://digicamnature.kusayan.com/archives/734
https://ameblo.jp/fromao/entry-12751757048.html

地面にしゃがみこんで撮ろうとしても、なかなか限界があって綺麗に撮るのって難しいですよね・・・

ネットで簡単に注文したいっていう方にはこちらがおすすめ
448円というチャレンジしやすい価格が嬉しいですね!

990円のオシャレなレンズはかなり口コミが良いです!

お花だけではなく雪の結晶も綺麗に撮れるそうですよ。
1年を通して持ち歩きたいアイテムです。

野草観察の注意点

野草観察に夢中になるあまり、周りが見えていないことも・・・。
道幅のせまい登山道や人が多い所では周囲に気を配ってくださいね。

山のルール・マナーを守る

珍しい花があるからと言って登山道を外れて歩くのはやめましょう。
踏み跡がつくことで道迷いの原因になったり、野草を踏み荒らすことで来年花を咲かせなくなったりもします。

絶対にしてはいけない「盗掘」

自生する植物を持ち帰ることは絶対にしてはいけません!
絶滅危惧植物の多くはこのことが原因だとも言われています。
希少な山野草は高価なので盗掘が後を絶たないそう・・・。

もし山で希少な山野草を見つけたら、SNSで拡散するのは控えましょう。場所を特定されるとすぐに盗掘されるそうです。悲しいですね。

危険生物に注意する

登山道脇の草むらにはヘビが潜んでいるかもしれないし、蜂が襲ってくるかもしれません。
山菜採りで熊に襲われるケースが多いのは、立ち止まることで鈴の音が鳴り響かないことも原因の一つだと言われています。

春は危険生物も活発に行動します。
そのことを頭にいれて、注意しながら観察してくださいね。

まとめ

今年は桜だけではなく、山野草の開花も例年より早くなりそうです。
ここに載せた見頃はあくまでも参考ですので、SNSや地域の情報などで開花状況を調べてからお出かけくださいね。

そしてお出かけの際にはぜひマクロレンズを持参して、素敵な写真をたくさん撮ってください!

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