4回に分けて連載中の“冬登山について”ですが、今回いよいよ「雪山登山について」まとめたいと思います。
雪が多かった年末年始に多くの方が雪山を経験されたかもしれませんね。白銀の世界、静寂な空間、澄み渡った青い空に魅了された方がほとんどだったのでは?
「もっと積雪の多い山へ出かけてみたい」と考えている雪山初心者さんに向けて、何が危険なのか?どんな準備が必要なのか?を徹底ガイドします。ぜひ参考にしてくださいね。
本格的な装備を揃えようと思ったら結構お金かかるよね・・・
雪山登山の危険性とは?
「雪山に登りたい」と思ったら、まずは雪山についての情報を集めて学ぶこと。これが雪山挑戦への始まりの第一歩だと考えます。
雪山は危険が多いと耳にするけど、具体的にどんな事が危険なのでしょうか?
知らなければ対策もできませんね。
装備や道具を揃える前にまずは危険性について学んでおきましょう。
雪崩(なだれ)
雪山で起こる危険と聞いてまず頭に浮かぶのは雪崩ではないでしょうか?
雪崩を発生させる要因
雪崩はいくつかの要因が重なることで発生します。
斜面の傾斜
雪崩は山の斜面で起こりますが、カギとなるのが傾斜だそうです。
斜面勾配が30度以下ならほとんど発生せず、30度以上になると発生しやすくなり、35~45度が特に危険とされています。
斜面勾配が45度ってどれぐらい?と思って調べてみたら、スキー場の上級者コースでだいたい30度~35度だそう。札幌オリンピックで使用されたジャンプ台が最大傾斜35度だとか。
植生の状態
背の高い樹木が密集した樹林帯は雪崩が発生しにくく、低木やまばらな植生の斜面では発生しやすくなります。また、笹や草の茂る斜面は特に危険とのこと。
表層雪崩
表層雪崩とは、先に積もった雪の上に新しくたくさんの雪が積もった時、上に積もった新しい雪が崩れるものです。そのスピードはとても速く、新幹線のスピードと同じくらいの速度で滑り落ちていくそうですよ。
気温が低くて雪が多く降る1月から2月に多く発生します。前兆を発見する事が難しく、気象条件の変化に特に注意が必要なのだそう。
全層雪崩
全層雪崩とは、古い雪も新しい雪も一緒に地面を削りながら崩れるものです。そのスピードは表層雪崩よりは遅くなりますが、それでも車と同じくらいの速度があるそうです。
天気が良く気温が上がった日、雨が降った時、フェーン現象などによって気温が上昇した時に多く発生します。春先は特に注意が必要ですね。
雪崩から身を守るために
2022年1月4日13時ごろ、伊吹山6合目あたりで長さ100m、幅50mの雪崩が発生し4名が巻き込まれました。3名は自力で脱出、1名は救出され無事が確認されました。
「関西で積雪の多い山」というと伊吹山・比良山系・氷ノ山などがあげられますが、これらどの山でも雪崩が発生する危険性があります。
雪山を知るともっと雪深い山へ挑戦したくなりますが、難易度もあがり危険性が増す事を十分に理解しておく必要があります。
市町村が作成するハザードマップ等で危険箇所を把握しておく
上記の要因のうち地形・植生に関してはあまり変化のないものです。という事は、残りの気象条件である程度予測ができるという事。
雪崩が起きやすい場所、どういった気象の時に発生したかといった過去の情報を調べておくだけでもかなりリスクは回避できるかと思います。
「なだれ注意報」などの気象情報は必ずチェックする
気象庁が定めている発令基準です。
頭の片隅に置いておくだけでも目安になりますよね。前日に登った人が「特に危険は無かったよ!」と言っても、今日も安全とは限らないわけです。
転倒・転落・滑落
雪山で一番多い事故が滑落です。
濡れた木の根で滑る、アイゼンが引っかかって転倒など、少しの気の緩みが事故につながります。顔を出した木の根や岩などには十分注意しましょう。
アイゼンでの歩行は慣れも必要ですね。一歩一歩慎重に、アイゼンの歯が地面に突き刺さるのを確認しながら下山するまで気を抜かないようにしましょう、
もし雪の斜面で転んでしまったら、すぐにピッケルを地面(雪面)に突き刺し停止させなければいけません。この時、手元の動作に気を取られますが、アイゼンが雪に触れないよう足先は宙に浮かせた状態をキープします。
歯が雪面に触れるとその足が支点となって体が反転し、谷に頭を向けてそのまま滑り落ちていく形になります。
滑落停止動作は練習でもケガをするぐらい難しい技術のようです。
ホワイトアウト・道迷い
雪山での道迷いも多いそうです。
積雪によるルート不明瞭だけではなく、目印や道標が雪に埋もれていたりもします。
- 夏山に登ってルートを把握しておきましょう
- 人気の山を選び人が歩いた跡(トレース)を辿って歩きましょう
雪山上級者でも特に厳しいのが「ホワイトアウト」と呼ばれる現象です。吹雪やガスにより辺り一面が真っ白になることで、酷い時には自分の足元さえ見えないこともあるそうです。
空と雪の境界線もわからなくなり、登っているのか下っているのかさえわからなくなるのだそう。こうなるとまさに身動きが取れない状況となり、最悪の場合死に至ることも・・・。
雪庇(せっぴ)
風の吹き抜ける尾根の風下側に雪庇(せっぴ)という雪のひさしのような物ができます。ひさしの下は空洞なので、その上を人が歩いたらひさしごと崩れ落ち滑落します。また、気温の上昇等で自然に崩落することもあります。
細い尾根を歩くときには、雪庇踏み抜きによる滑落事故に十分な注意が必要です。
凍傷・しもやけ・低体温症
冬の登山で一番重要なのが防寒対策ですが、雪山になるとさらにその重要度が増します。
凍傷・しもやけ・低体温症になる原因は濡れと風が大きいので、なるべく汗をかかない、濡れてしまったら着替える、手袋を外さない、耳や顔をできるだけ覆う、などの対策が重要です。
基本のレイヤリング、着替え、冬用の登山装備などで回避できるので、雪山へ行かれるときはしっかりと準備してください。
また、西高東低となる冬型の気圧配置では北からの風が強く吹き付けます。森林限界を超えた稜線では体を持っていかれるぐらいの突風や強風に見舞われます。風は一気に体温を奪うのでハードシェルと呼ばれる雪山用のアウターが必要になります。
雪目(雪眼炎)
簡単に言うと「目の日焼け」で、長時間紫外線を浴びることにより角膜や結膜に炎症が起こります。晴天の雪原で起こりやすいため病名に雪が付いているのだそう。
症状としては、異物感、目の痛み、流涙(涙が出続けること)などがあげられ、酷いときには目が開けられなくなったり、白目が充血したりするそう。
入浴やお酒を控えて目を休ませます。酷いときには眼科を受診して目薬を処方してもらいます。
雪山登山では必ずゴーグルやサングラスを着用しましょう。
ツリーホール
ツリーホールとは針葉樹の木の根元にできる空洞の事です。
冬に落葉しない針葉樹は枝葉で雪を遮るため、その木の根元には雪があまり積もりません。辺りに雪が積もれば積もるほどその差は広がり、ポッカリと穴が開いたように空洞ができるのだとか。
木に近づくとこの穴に落ちてしまいます。また、落ちた時に新雪がなだれ込み生き埋めになることも。命を落とす事故も多発しています。
木の傍には近寄らない
男性は特に注意してくださいね。
その他(スノーブリッジ・落石・クラック)
スノーブリッジはその名の通り雪でできた橋のこと。谷に大量に積もった雪が川の流れにより融解して、谷にかかるアーチ状の橋を生み出します。
このスノーブリッジは上からでは雪の厚さがわかりにくく、渡る際には注意が必要となります。
春先暖かくなってくると斜面にクラック(ひび割れ)が生じて雪崩を起こしやすいだけではなく、落石も起こりやすいそうです。
雪山での服装
冬登山の服装や持ち物については前回の「必ず持っていく10のアイテム」で紹介しています。ぜひこちらの内容もチェックしてみてください。
今回は雪山へ行くとき特に注意したい点についてまとめたいと思います。
重要なのは寒さへの対策です。低山の雪山にはレインウェアでも可能と書きましたが、森林限界を超えるような稜線・滑落の恐れがある山岳には不向きです。
稜線上は風が強いので薄いレインウェアでは保温性が保たれません。また雨をはじくように張りのある素材・撥水処理が施されているため、雪上で滑落した場合に抵抗なく滑ってしまうのだそう。
スキーやスノボ用のウェアで代用は可能?
中綿が入った分厚いスキー・スノボ用のジャケットは、保温性に優れているし雪山で使用する物だから登山でも使えるだろうと考えがちです。
登山ではレイヤリングが基本。汗をかかないよう上手に脱ぎ着して体温を調節することで低体温症を防ぎます。なので中綿入りの分厚いウェアは汗をかきやすく登山には適しません。
スキーウェアのズボンは代用可能でした。ただ、アイゼンで破く可能性もあるのでそこは注意が必要かな。
雪山にはハードシェル
ハードシェルと呼ばれるアウターが最適です。
ざらつきのある素材は滑落時に雪との間に摩擦を起こして滑り落ちる勢いを減らすという役割があります。また生地が頑丈なので耐久性にも優れています。
値段は5万円以上と高価ですが、森林限界を超えるような雪山登山を始めるなら必須アイテムとなります。
雪山で使用する登山靴
同じく、本格的な雪山登山をするなら保温性に優れた冬用登山靴が必須となります。
3シーズン用の登山靴と違う点は大きく3つあります。
他にも、つま先の甲の部分(アッパー)がナイロンではなく皮が使用されていたり、つま先部分がフラットな形状になっています。
3シーズン用の登山靴で低山の雪山に行ったことはありますが、3時間ほどの短い山行だったしなんとかしのげたかな~と記憶しています。これは雪の多さにも関係してると思っていて、やはり雪の多い山岳へ行くときにはしっかりと保温性が備わった登山靴が必要だと思いますね。
友人がつま先に足用カイロを入れてるって言ってたけど、それってどうなの?
調べてみると、意外と使ってる人が多くてビックリしました。ただ皆さん、雪の少ない低山がメインのようです。
製品には「スポーツには使用しない」との注意書きがあるようなので、使用される際は低温やけどに注意して、あくまでも自己責任でお願いします。
雪山で使用する装備について
登る山によって必要な装備が変わってきます。
ここでは基本的な4つの装備について解説していきます。
アイゼンの種類と選び方
アイゼンは10~12本爪のものと、軽アイゼンと呼ばれる4~6本爪のものがあります。
上の2枚を見比べてみてください。
10本爪と12本爪の違いがフロント部分の歯の形状にあることがわかります。10本爪の方が爪が小さくてコンパクトなんです。
では、10本爪と12本爪、どちらを選べばいいのでしょう?
答えは「靴のサイズに合わせる」です。
足の小さい女性の場合(靴のサイズが小さい時)、12本爪だと前後の間隔が詰まってしまいます。逆に、靴のサイズが大きいと10本爪は不向き。あくまでも靴のサイズに合わせる事が大切なのだとか。
この10~12本アイゼンがあればどこの雪山でも登れますが、傾斜の緩い低山だったり樹林帯を歩く分にはここまでの爪は必要ありません。逆に歯が飛び出している分歩きにくかったり、重かったりもします。
「登る山に合わせてアイゼンを変えた方が良い」というのはこういった点からきているようですね。
6本爪は足裏部分にだけ歯が付いています。
緩やかな傾斜、雪質の柔らかい森林限界までを登る分には6本爪で十分だと言われます。
ですが、これも山によって変わってくるので注意が必要です。
前爪を蹴り込んで歩く必要のある急な傾斜・アイスバーン・岩場には不向きなので、あくまでも登る山に適したアイゼンを選ぶことが重要です。
チェーンアイゼンは本来登山用ではなく街中で使用する物でした。コンパクトで着脱もしやすいので低山雪山では今このチェーンアイゼンが主流になっています。
爪が小さいので凍った道や踏み固められた雪道に適していますが、積もったばかりの雪道や斜面には不向き。チェーンが外れたりゴムが切れたりといったトラブルも起こりやすいです。
ブラックダイヤモンドのアクセススパイクは少々お値段が高いのですが、作りがしっかりしているのと、かかとにループが付いているので着脱がしやすくなっています。
チェーンアイゼンに関しては別記事にしようと思うのですが、少々高くてもちゃんとしたメーカーの物を買う方が結局コスパが良かったりして・・・。
ピッケルの役割と選び方
本格的な雪山登山には、アイゼンとピッケルはセットのイメージがあります。ピッケルってどういうシーンで役立つのでしょうか?
ピッケルの役割
ピッケルには、バランス保持・滑落時のブレーキという大きな役割があります。また上級者になるとロープを使う場面での支点としても活躍するそうです。
バランス保持だけを考えた場合、樹林帯や傾斜の緩いところ、滑落する危険のない場所ではストックで十分だし、逆にそちらの方が使いやすかったりします。
ですが、ストックそのものが滑りやすい為、凍った山道や渓谷沿いでは逆に危険なこともあるようです。
ストックは滑落時のブレーキとしては全く役に立ちません。傾斜のある雪山で滑ってしまった場合、ピッケルがないと止まることができません。
ピッケルの種類
ピッケルには耐久性の規格があり「テクニカル(T)」と「ベーシック(B)」に分かれます。
テクニカル製品には「T」と表記されていて、それ以外の物は全て「B」になります。「CE(EU安全基準適合マーク)」と記載されたものもB規格製品です。
柄の部分を「シャフト」と言いますが、シャフトのカーブが強いほど急斜面に適しています。ブレーキをかけやすいという人もいるそうですね。
バランスを保持しやすいのはストレートなので、傾斜の緩い山、歩行がメインという方はシャフト部分がストレートの物を選ぶといいでしょう。
選ぶ長さも登山スタイルによって変わってくるそうです。
緩やかな山を歩行メインで歩く場合には長め、傾斜のキツイ山に登るときには短め、といった選び方をします。
目安となるのは腕の長さのようですが、ヘッドの形も違っていて握りやすさが変わるそうなので、実際に売り場で確かめた方が無難かもしれません。
体とピッケルをつなぐリーシュコードや、持ち運ぶ際のカバーなども忘れずに準備しましょう。
ワカンとは?メリットデメリット
降雪直後の柔らかい雪の上を歩くのに適していて、足の接地面積が広くなることで足が沈み込まずに快適に歩くことができます。
スノーシューとよく似ていて「どう違うの?」と思ってしまいますが、ワカンは輪かんじき、スノーシューは西洋かんじき、という事で用途はどちらも同じなのです。
ちなみに、「和かんじき」と書かれていたりもしますが、「輪かんじき」が正解です。木・竹・蔓などを輪にした「かんじき」の事で、歴史は古く縄文時代の遺跡からそれらしき縄が出土しているのだとか。
ワカンの方が軽くて、サイズは靴より一回り大きいぐらい。お値段もスノーシューと比べるとお手頃。ただ、積雪量が多くなると使用していても足が沈み込んでしまうようです。
ワカンのメリット
・傾斜があっても使用できる
・アイゼンと併用が可能
・軽量
・価格が手ごろ
ワカンのデメリット
・スノーシューに比べて浮力が落ちる
・傾斜のない雪原ではスノーシューのほうが快適
スノーシューとは?メリットデメリット
形が縦に長く接地面積が広いため、ワカンより浮力に優れているのが特徴。
・山岳用
・ハイキング用
・ランニング用(レース用)
の3種類があるので、登る山や目的に応じて選ぶ必要があります。
上2つの特徴としては
山岳用
・グリップ力が高い
・かかとを支えるヒールリフターが付いている
・耐久性がある
ハイキング用
・山岳用と比べるとグリップ力が落ちる
・急斜面には向かない
・平坦・緩やかな傾斜の雪原を歩くのに適している
斜面を登れるようヒールリフターのついたハイキング用もあるようです。
ワカンと比べると重量もあり持ち運びに苦労しそうです。
大きさや材質など様々で、それにより値段も変わってきます。ワカンと比べるとかなり高いようです。海外製品が多い為サイズはインチで表記されていますよ。
スノーシューのメリット
・浮力に優れている
・雪原でスノーハイクするのに適している
スノーシューのデメリット
・持ち運びが大変
・値段が高い
・小回りがきかない
スノーシューをレンタルしよう!
シーズン中に数回しか使用しないならレンタルで十分かも?
https://store.montbell.jp/common/system/information/disp.php?c=5&id=30
https://pitpit17.com/archives/359/
スノーシュー体験もあり!
スノーシューの使い方がわからなくて不安・・・って方は、スキー場でスノーシュー体験をしたりツアーに参加してみるのもおすすめです!
https://www.biwako-valley.com/snowshoeing/
http://makinokougen.co.jp/publics/index/44/
https://www.nta.co.jp/activity/snow/snowshoe/kansai/
スキーシューとは?
スノーシューって滑れるんじゃないの!?
実は私、スノーシューで雪の上を滑ることができると思っていました。何かで見たか読んだかしたんだけど・・・。
ありました!
スキーとスノーシューの良いところを取った、その名も「スキーシュー」
登山靴に装着する短いスキー板のようなものです。
残念ながら、スキーシューを体験できるところが関西にはまだ無いようですね。
雪山登山の心構え
休憩は手短に
雪山では座り込んでゆっくり休憩することはありません。歩いて温まった体を一気に冷やす事になるからです。足がつる原因にもなるので5分以上の休憩は取らないようにしましょう。
そうはいってもお昼ごはんぐらい座って食べたいよ!という方には折り畳み式のマットが便利。
これ冬の登山の必需品ですよ。ほんっとにおすすめです。
水分補給
「トイレに行きたくなったら大変だから」とか「あんまり汗をかかないから」といって冬は水分補給が少なくなりがちですが、これって実は危険なのです。
乾燥する冬は知らず知らずのうちに体の水分が蒸発するそうです。自覚のないまま脱水状態に陥ることを「かくれ脱水」と呼ぶそうで、集中力の低下や眠気・頭痛などを引き起こすそう。
冷たい物を飲もうという気分にはならないので、ポットに温かい飲み物を用意するなどして水分補給を怠らないように気をつけましょう。
登山計画・登山届
初心者は山選びが重要になってきます。
雪の多い山に登ってみたいという気持ちはわかりますが、まずはその山の積雪量や必要な装備などを調べてみて、現在の自分の体力や装備で可能か不可能か判断しましょう。
積もっている雪の量で歩くペースがかなり変わってきます。冬は日が暮れるのも早いので、余裕をもった登山計画が必要になります。
雪でルートが不明瞭だったり道標が見えない可能性もあります。登ったことのない山より、歩いたことのある山の方が安全です。また人が少ない山よりも登山者が多い山の方が安心ですね。
入山するときには必ず登山届を提出しましょう。家族や友達に伝えておくのも大切ですね。
初心者はガイドや経験者と行動する
雪山登山について事前にリサーチすることも重要ですが、やはり実際に雪山に登って自身で体験することが何よりも重要だったりします。
雪山講習に申し込んで、ガイドさんに案内してもらいながら雪山の安全な楽しみ方を学ぶこともいいでしょう。
https://event.montbell.jp/plan/list.php?cid=2&area=6
雪山経験が豊富な人に連れていってもらうのも一つです。
静かな雪山はそれだけで少し緊張するものです。誰かと一緒に行動するのは安心感がありますし、1年目、2年目と、徐々にレベルアップしていくことが大切です。
遭難者の体験談、目撃者の情報から学ぶ
2022年は遭難のニュースがとても多かったと思います。特に印象に残ったのは、8月に大峰山系の弥山で女性2人が遭難したニュースです。少し前に私たちも登ったばかりで、なんだか他人事のように思えなかったからです。
10日後に無事救助されましたが、この方たちがなぜ遭難してしまったのか、10日間どういう行動をしていたのか、あなたはご存知でしょうか?
【遭難者の体験談】
https://yamap.com/magazine/40239
遭難した方の体験談は、私たち登山をする者にとって貴重な情報となり教訓ともなります。遭難の原因や遭難中の行動・反省点などを知ることで今後の活動に生かす事ができるからです。
「勘違いでバリエーションルートへと進んでしまった」
おかしいなと感じた時には引き返す判断をすべきだったが、時間が遅くなると思いそのまま進んでしまった。急坂を座り込んだ状態で下り、沢に出た時点で間違いに気づいた。
遭難時 の行動
ビバークをして翌日谷を降り下山を試みるが体力を消耗、見つけた小屋で救助を待つことに。焚き火の火を絶やさない為に日中は枯れ木を集めたり、のろしをあげていた。捜索が打ち切られヘリコプターの音がしなくなったことで、1名が山を登り返す決意をする。その日の夜、ビバークをする為ザックを木陰に下ろしたらスマホのアンテナが1本だけ立っていて警察に繋がり、翌日2人が救助された。
問題点
スマホの電波が繋がると友人知人からのLINEやメッセージを一気に100件ほど受信した。60%あった充電は20%にまで減った。
教訓
・あらかじめ地図でルートや地形の確認をする
・コースタイムは休憩を含めた余裕のある計画を
・分岐点では道標だけではなく地図でも確かめる
・ビバーク中はサバイバルシート、ライター、手ぬぐいが重宝した。
【目撃者の情報】
遭難者が亡くなってしまった場合、何が原因だったのか、どうして亡くなってしまったのかを知ることは難しくなります。同行者がいたとしてもその瞬間を目にしているとは限らないからです。
滑落の瞬間を目撃した方がブログに詳細を記載されています。
https://okiraku.muragon.com/entry/793.html
ニュース記事の内容に対して、間違っている点を指摘されていたり、写真を撮っていてバランスを崩したことが原因であるかのように書かれているが、実際はアイゼンの爪が岩に引っかかったことでバランスを崩したのだと訂正されています。
父親の最後の状況を知る事ができましたと、娘さんがコメント欄にお礼を書かれていました。そしてこの情報が登山者への注意喚起になり、同じような事故が起こらないようにと願っておられます。
10〜12本アイゼンは鋭くて長い爪が土踏まずの前後に付いています。一番前の爪は靴のつま先から飛び出すように生えているので急斜面でも爪先を蹴り込む事で登れるのですが、正しい歩き方をしないと転倒や滑落に関わる重大な事故につながります。
遭難の体験談からわかる事は、少し気が緩んだ時に事故が起こりやすいということ。そこに登山歴は関係ありません。
登る予定の山で過去に遭難の事例はあるのか、どんなことが原因だったのかを知ることは危険を回避するための貴重な情報です。
まとめ
昨年はじめて雪山に登りその素晴らしさにハマって、今シーズンはもう少しレベルアップしたいと考えていました。ですが、ウェアや登山靴など必要な装備を2人分揃えようとするとかなりの出費に・・・。
お金がかかるからといって適切ではない装備で山へ入ることはやはり危険ですね。今回は自分自身が知っておきたい、学んでおきたい事を重点的に調べてみました。同じようにステップアップを考えている雪山初心者さんの参考になれば幸いです。
次回は「冬登山を楽しむ秘訣」です。お楽しみに!